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行儀の悪い額縁展(加筆画像追加5) [アート論]

行儀の悪い額縁展.jpg

1

中国生産されている既成のキッチュな額絵を、
リノベーション(改造)する現代アート展が、
「深川ラボ」で開催されています。

行儀の悪い額縁展

名曲喫茶にかかっていそうなキッチュな額絵。金を模した過剰な額、欲望と効率を追求した花の絵。
芸術の形式がコピーによって極限まで摩耗した姿がここにあります。
このキッチュさはどこか創作意欲をくすぐるところがあります。
これを素材として作家が手を加えることで、現在のアートとして蘇らせることを試みます。
アートのシェフとして、その腕前の競演をお楽しみ下さい。
(企画 深川ラボ主宰 白濱雅也)

11月13日(金曜日)〜11月29日(日曜日)

月火休日 祝日オープン
13:00〜20:00
13. Nov. Fri-29.Nov. Sun Closed on Mon, Tue, National Holiday Open


出品作家(予定)
彦坂尚嘉 牧井優 伊東なおあき 笠原出  ミヤタケイコ 
くわナよしゆき 白濱雅也 田嶋奈保子

協賛 (株)牧井ステンレス

東京都江東区三好3-9-6
http://mmfalabo.exblog.jp/
半蔵門線、大江戸線清澄白河下車
A3出口を出て左方向、最初の信号を左折、商店街をしばらく直進、デイリーヤマザキの先の派手なみせです。
問い合わせ fukagawalabo@gmail.com
070-5020-8361(しらはま) 03-3641-3477(いっぷく)


2

この試み自体は、実は重要な現代アートの問題をとらえた
企画と言えます。

つまりかつてのモダンアート/現代美術というのは、
グリンバーグの理論が示していたように、
キッチュを厳しく排除するところに成立して、
抽象表現主義まで展開したのでした。

それがポップアートからキッチュが入り込んでくるように
なるのですが、
1975年以降のポストモダンになると、
このキッチュの扱いを巡って、様々な葛藤が展開する
ことになります。


3

彦坂尚嘉の私見を、ひとつの結論として申しあげれば、
今日の芸術の課題は、【キッチュと純粋芸術の同時表示】を価値と
した時代となったと言えます。

そのような課題に、複数のアーティストが取り組むのは、
問題を明示する複数の回答として、
面白い試みであったのです。

それだけに制作はむずかしいと言えます。
理性脳での制作が、要求されるからです。
4

伊東直昭‎.jpg

伊東直昭‎作品

《想像界》の眼で《第6次元》の《真性の芸術》
《象徴界》の眼で《第6次元》の《真性の芸術》
《現実界》の眼で《第6次元》の《真性の芸術》

《想像界》の表現
固体美術

《気晴らしアート》
《ローアート》

《反芸術》作品

キッチュ・アート
原始脳の作品
実体的な作品=エンターテイメント

シニフィアン(記号表現)の美術

まず、伊東直昭‎さんは、キッチュに対して、
よりキッチュな材料を使い、より過剰に作品を改作しています。
原始脳の制作による《反芸術》という過激さをもっています。
たいへん力作です。
その結果は、ご自分の作品の特徴であった《第41次元》性は消えて、
《第6次元 自然領域》になっています。
趣味があえば、力作だけにお買い得なコレクションになります。

《第6次元 自然領域》というのは、実に広大な領域ですので、
こうしたキッチュをも吸収してしまうのです。


同じパターンは、牧井まさるさんの作品にも言えて、
本来牧井氏の作品は《第1次元 社会的理性領域》なのですが、
額縁の過剰性もあってか、《第6次元 自然領域》の作品に退落しています。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

自分の作品を変化させなかったのは、
ミヤタケイコさんで、《第31次元 犯罪領域》をキープしています。
しかしキッチュな絵画を完全に消去してしまって、
自分の作品でおおい、額縁の使用だけに綯っているのは、
まあ、課題の回答としては、安易なものであると言わざるをえません。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

白濱雅也.jpg
白濱雅也作品
《想像界》の眼で《第8次元》の《真性の芸術》
《象徴界》の眼で《第8次元》の《真性の芸術》
《現実界》の眼で《第8次元》の《真性の芸術》

《想像界》の表現
気体美術

《シリアス・アート》
《ハイアート》

《芸術》作品
純粋芸術作品

理性脳の作品
《非-実体性》のある作品=芸術

シニフィエ(記号内容)の美術


白濱雅也さんは、理性的な処理で、
ある種のコラージュ絵画をつくり《第8次元 信仰領域》を
キープして、ある意味で正統で凡庸な回答作品でありました。

純粋芸術作品になっています。
《シリアス・アート》《ハイアート》であることを含めて、
白濱雅也さんという作家の良さが出ています。

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田嶋奈保子.jpg
田嶋奈保子作品
《想像界》の眼で《第41次元》の《真性の芸術》
《象徴界》の眼で《第6次元》の《真性の芸術》
《現実界》の眼で《第41次元》の《真性の芸術》

《想像界》《象徴界》《現実界》の3界をもつ重層的な表現
気体/液体/固体/絶対零度の4様態をもつ多層的な美術

《シリアス・アート》
《ハイアート》

《反芸術》作品
純粋芸術とキッチュアートの同時表示作品

理性脳と原始脳の同時表示作品
《非-実体性》のある作品=芸術

シニフィエとシニフィアンの同時表示美術

田嶋奈保子さんの作品は、抑制が良く利いていて、
理性脳と原始脳の同時表示を成立させている事は、
高く評価できます。

伊東直昭‎さんや白濱雅也さんよりも若い世代のアーティストが
持っている、純粋芸術とキッチュアートの同時表示という傾向が、
うまく成立していて、新しさがあります。

彦坂尚嘉小.jpg

彦坂尚嘉大.jpg

彦坂尚嘉作品
《想像界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》
《象徴界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》
《現実界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》

《想像界》《象徴界》《現実界》の3界をもつ重層的な表現
気体/液体/固体/絶対零度の4様態をもつ多層的な美術

《シリアス・アート》
《ハイアート》

《芸術》《反芸術》《非芸術》《無芸術》の同時表示作品
純粋芸術とキッチュアートの同時表示作品

理性脳と原始脳の同時表示作品
《非-実体性》のある作品=芸術

シニフィエとシニフィアンの同時表示美術

彦坂尚嘉は、意図的にですが《第1次元 社会的理性領域》の作品に
しています。

《第21次元 愛欲領域》のこの中国キッチュ絵画を、
どのように、正統な現代アートにしてしまうか?

そこでまず、《現実界》を《第1次元 社会的理性領域》にするために、
黄色く、縦に分割して彩色しています。

さらに《象徴界》を《第1次元 社会的理性領域》にするために、
左上部に黒い色面を作っています。

そして黄色い色面にドローイングを加える事で、
《想像界》を《第1次元 社会的理性領域》に抑制したのです。

作品写真を見ていただくと、
分かりますが、
額縁の扱いを含めて、他の作家との違いがあります。
額縁を伝統的な意味での額として機能を解体しています。

また、全体を転倒して、上下逆さまにしているのも彦坂尚嘉だけで、
ここでも他の作家との意識の違いがあります。

作品を《第41次元》にしないで、《第1次元 社会的理性領域》に
したのは、いろいろな問題があるにしても、
芸術の基本が《第1次元 社会的理性領域》にあると言う事が、
大きくあります。

この《第1次元 社会的理性領域》の持つ抑制性の力を、
今回は意図的に使った作品でありました。

その結果としてキッチュと純粋芸術の同時表示】をなしとげているのです。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

それと《第1次元 社会的理性領域》だけでつくると、
制作を、簡素化できるのです。
つまり【芸術的節約】の問題が、成立させられるのです。

芸術と工芸を分ける大きな要素として、
【芸術的節約】という性格があります。

芸術というのは、理性脳によって、
過剰な手間を省く事で、手芸や工芸と一線を画すのです。

この中国絵画工芸の《第21次元 愛欲領域》というのは、
同時に《第2次元 技術領域》の倒錯領域なので、
どうしても過剰な手間に満ちています。

この過剰性を、《第1次元 社会的理性領域》で抑制してみせる
ことが、【芸術的節約】を芸術の基本性格とするアーティストの
重要な方法となるのです。


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コメント 8

丈

「言語判定法」が制作にどのように使えるかがよく分かります。
当然ながら制作をコントロールする上で非常に有効なのですね。

by (2009-11-14 12:31) 

ヒコ

丈様

もともと《言語判定法》は、自分の制作のコントロールの為に開発されたと言う面が強くあります。

制作を続けるという事は、実は極めてむずかしい事なのです。佐々木薫さんの事を《第21次元》になっていると書きましたが、《超1流》の作品を作っていた人でも、賞味期限が過ぎると《第8次元》や《第21次元》に、簡単に転落するのです。

こういう状態を自分で測定して、これからの脱出の為に開発されたのが《言語判定法》であり、『アートの格付け』なのです。

ですから他人の批評に転用しているのは、あくまでも自分の眼を養って行くと言う拡張作業であって、実は批評な目的ではないのです。


by ヒコ (2009-11-14 17:03) 

五十嵐太郎

かなりおもしろそうな展覧会ですね。何点くらいあって、いつまで開催されてますか?
by 五十嵐太郎 (2009-11-14 23:58) 

ヒコ

五十嵐太郎様
コメントありがとうございます。
15点くらいです。
11月29日までです。
もしも夕方に来て下さるのなら、軽いシンポジウムをやって、飲みませんか?
キッチュと純粋芸術の同時表示という視点で、ベンチュリーからの建築/家具における展開をご教示願えないかと思います。
28日(土)、29日(日)でどちらか、余裕はないでしょうか?


by ヒコ (2009-11-15 18:08) 

五十嵐太郎

どちらか行けると思います。調整します。これはまず、企画がいいですね。額縁には関心があって、しかもキッチュですし。ヤンキー文化論序説の森田論にもつながります。
by 五十嵐太郎 (2009-11-15 23:35) 

糸崎

この「課題」が自分に出されたと考えると・・・すぐには何も思いつかず冷や汗が出ます。
でも難しいだけに、思考実験として面白いですね。
by 糸崎 (2009-11-16 10:20) 

五十嵐太郎

29日なら大丈夫そうです。
by 五十嵐太郎 (2009-11-16 23:23) 

ヒコ

糸崎様
コメントありがとうございます。
ご予定つくようであれば、ぜひ、シンポジウムに参加して下さい。

五十嵐様
ありがとうございます。
29日、よろしくお願いします。
by ヒコ (2009-11-17 12:24) 

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